一ヶ月で!?
前回にこの銘柄を紹介したのは「4月9日」その時も配当利回りは4.87%と決して低いと言う水準ではなかったこの株が今回の決算を超えて配当利回り「5.73%」と大幅に上昇中。前回示唆していた通り、5%前後になれば買い向かうと思っていた銘柄。ここに来てチャンス到来と考えるか?
1. どんな会社?
ジャックス(8584)は、三菱UFJ銀行系列の大手クレジット・信販会社です。ショッピングクレジット(分割払い・リボ払い等)、クレジットカード・決済サービス、住宅ローン保証・銀行個人ローン保証の3事業を主力に展開。国内に加え東南アジア(インドネシア・ベトナム等)でも事業を手がけています。
業績面では2024年3月期に経常利益330.6億円・純利益237.7億円と過去最高水準を達成しましたが、その後は急激な減益が続いています。2026年3月期は経常利益202.6億円(前期比-21.4%)、2027年3月期会社予想は経常利益110億円(-45.7%)と、わずか3年でピークから3分の1程度まで落ち込む見通しです。
減益の主因は①市場金利上昇による調達コスト増加、②データセンター移転等のシステム関連費用増加、③インドネシア事業の回復遅延の3点。配当は200円を維持・予定していますが、予想EPS223円に対する配当性向は89.5%と、持続性に強い懸念が生じています。
2. 時価総額
約1,572億円
東証プライム上場。時価総額1,570億円台は中型株の水準。クレジット・信販業界の中では中堅〜上位に位置します。三菱UFJグループの傘下として安定した信用力を持つ一方、業績悪化局面では株価への影響も大きく、PBR0.52倍と割安評価が続いています。
3. 株価・配当金・セクター
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 株価 | 3.490円(2026年5月29日) |
| 配当金 | 200円(2027年3月期予想) |
| セクター | その他金融業 |
4. 配当利回り・配当支払い月
5.73%
5%を大きく超える配当利回りは数字だけ見れば魅力的。しかし2027年3月期予想EPS223円に対して配当200円は配当性向89.5%という危険水域です。「高利回り=リスク」の典型的なケースで、業績が回復しなければ減配リスクが高まります。配当支払い月は12月(中間)・6月(期末)の年2回。
5. 売上推移
| 年度 | 営業収益(売上高) |
|---|---|
| 2022年 | 1,640.7億円 |
| 2023年 | 1,735.1億円 |
| 2024年 | 1,847.8億円 |
| 2025年 | 1,909.8億円 |
| 2026年 | 1,923.2億円 |
| 2027年(予) | 1,925億円 |
営業収益(売上高)はほぼ横ばい〜微増で推移しており、売上自体は崩れていません。しかし費用(調達コスト・システム費用)の増加が利益を直撃しており、「売上は増えているのに利益が急減する」という構造的な問題が起きています。
6. 利益推移
| 年度 | 経常利益 | 純利益 |
|---|---|---|
| 2022年 | 267.9億円 | 183.2億円 |
| 2023年 | 317.7億円 | 216.5億円 |
| 2024年 | 330.6億円 | 237.7億円 |
| 2025年 | 257.7億円 | 186.2億円 |
| 2026年 | 202.6億円 | 153.1億円 |
| 2027年(予) | 110億円 | 100億円 |
2024年3月期の経常利益330.6億円をピークに、2025年・2026年と2年連続で急激な減益。2027年予想の110億円はピーク比わずか33%と深刻な水準です。市場金利の上昇による調達コスト増加が最大の要因で、金利環境が改善しない限り利益回復の見通しは立てにくい状況です。正直にリスクの高い局面と評価します。
7. EPS
| 年度 | EPS |
|---|---|
| 2022年 | 528.95円 |
| 2023年 | 624.59円 |
| 2024年 | 685.13円 |
| 2025年 | 536.08円 |
| 2026年 | 380.25円 |
| 2027年(予) | 223.33円 |
EPSは2024年の685円をピークに急落。2027年予想の223円は2019年水準を下回ります。配当200円(予想)に対してEPS223円では、ほぼ稼いだ利益をすべて配当に回す形となり、内部留保がほぼゼロになります。将来の成長投資や財務の安全網が失われるリスクがあります。
8. ROE
| 年度 | ROE |
|---|---|
| 2022年 | 9.81% |
| 2023年 | 10.61% |
| 2024年 | 10.32% |
| 2025年 | 7.50% |
| 2026年 | 5.16% |
| 2027年(予) | 3.37% |
ROEは2023年の10.61%をピークに急落し、2027年予想では3.37%まで低下する見通し。その他金融業の平均ROEを大幅に下回るレベルです。PBR0.62倍という割安水準はこのROE低下を反映したものであり、ROEが回復しない限りPBRの改善も期待しにくい状況です。
9. PER & PBR
PER:15.62倍 / PBR:0.52倍
2026年実績EPS380円ベースのPERは15.6倍とやや割安に見えますが、2027年予想EPS223円ベースでは約18倍となり割高感が出てきます。PBR0.52倍は純資産を4割以上下回る水準で、市場がこの会社の将来性を保守的に評価していることを示しています。
10. 総資産&純資産
| 年度 | 総資産 | 純資産 |
|---|---|---|
| 2024年 | 3兆7,776億円 | 2,100億円 |
| 2025年 | 3兆8,068億円 | 2,215億円 |
| 2026年 | 3兆7,524億円 | 2,680億円 |
純資産が2026年に大きく増加しているのは、利益の蓄積に加えOCIや評価損益の改善が寄与している可能性があります。信販会社として総資産は3〜4兆円規模と巨大ですが、これは消費者への貸付債権を資産として計上するためで業種の特性です。
11. 自己資本比率
| 年度 | 自己資本比率 |
|---|---|
| 2024年 | 6.1% |
| 2025年 | 6.5% |
| 2026年 | 7.9% |
自己資本比率が6〜8%と非常に低く見えますが、これはクレジット・信販会社の業種特性です。消費者ローンや割賦債権を大量に保有するビジネスモデルのため、銀行や信販会社は総資産に対する自己資本の比率が構造的に低くなります。一般事業会社と同基準で判断しないことが重要です。
12. 有利子負債
| 年度 | 有利子負債 |
|---|---|
| 2024年 | 2兆0,453億円 |
| 2025年 | 2兆0,104億円 |
| 2026年 | 1兆9,248億円 |
有利子負債が約2兆円と巨額ですが、これも信販業の特性。消費者への貸付資金を金融機関から借り入れるビジネスモデルのため、有利子負債は必然的に大きくなります。ただし、市場金利の上昇がこの調達コストを直撃しており、それが現在の利益急減の主因となっています。金利環境の動向が業績に直結する点は注視が必要です。
13. 1株配当推移
※2017年10月に株式分割を実施。2018年3月期は分割跨ぎのため中間・期末が非対称な金額となっています。
| 年度 | 中間 | 期末 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | 40円 | 40円 | 80円 |
| 2020年 | 45円 | 50円 | 95円 |
| 2021年 | 45円 | 60円 | 105円 |
| 2022年 | 75円 | 85円 | 160円 |
| 2023年 | 95円 | 95円 | 190円 |
| 2024年 | 100円 | 120円 | 220円 ←増配ピーク |
| 2025年 | 90円 | 100円 | 190円 ←減配 |
| 2026年 | 100円 | 100円 | 200円 |
| 2027年(予) | 100円 | 100円 | 200円 |
2024年の220円がピークで、2025年に190円へ減配。2026年・2027年は200円で維持予定。利益が急減する中で配当を200円に据え置くのは株主へのコミットメントとも言えますが、EPS223円予想に対する200円配当は限界水域です。業績が予想以上に悪化した場合、追加減配のリスクがあることは正直に記しておきます。
14. 配当利回りの推移
| 年度 | 配当 | 配当利回り(概算) |
|---|---|---|
| 2022年 | 160円 | 約3.5% |
| 2023年 | 190円 | 約4.0% |
| 2024年 | 220円 | 約4.5% |
| 2025年 | 190円 | 約4.3% |
| 2026年 | 200円 | 約5.0% |
| 2027年(予) | 200円 | 約4.97% |
配当利回りは株価下落と配当維持の組み合わせで5%近くまで上昇。高利回りに見えますが、この水準はむしろ市場が「業績悪化リスクと減配リスクを織り込んでいる」ことを示唆しています。利回りが高いほどリスクも高いという点を念頭に置く必要があります。
15. 配当性向
| 年度 | EPS | 配当 | 配当性向 |
|---|---|---|---|
| 2022年 | 528.95円 | 160円 | 30.2% |
| 2023年 | 624.59円 | 190円 | 30.4% |
| 2024年 | 685.13円 | 220円 | 32.1% |
| 2025年 | 536.08円 | 190円 | 35.4% |
| 2026年 | 380.25円 | 200円 | 52.6% |
| 2027年(予) | 223.33円 | 200円 | 89.5% |
2022〜2024年は30%台という非常に健全な配当性向でした。しかし利益急落と配当維持が重なり、2026年は52.6%、2027年予想では89.5%と一気に危険水域へ。配当性向80%超は「稼ぎのほぼ全額を配当に回す」状態であり、業績が予想を下回れば即座に減配圧力が生じます。2027年3月期の決算発表に要注目です。
16. 自社株買い
大規模な自社株買いの公表実績は直近では確認できませんでした。利益の急減と高い配当性向から、自社株買いを積極的に行う余力は現時点では限られているとみられます。株主還元は配当維持に集中している状況です。
まとめ
利回り5%超の高配当が光る一方、利益は2年連続で急減。配当性向89%が迫る、正直に目を向けたい信販株。過去を見ても、配当利回りがここまで高い事はほ初めて。大きくは金利上昇や配当性向の上昇、そして減配への不信感が大きく株価をされた理由。リスクをとって買い向かうタイミングなのか? もう少しタイミングを見計らうのか?判断が難しいところではあるが、現在保有しているものはそのままに。もう少しタイミングを見て向かうかどうかの判断をしたい。
※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。
記載されている情報は執筆時点のものであり、その後変更される場合があります。
投資判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。
Sources:
・https://irbank.net/E04768
・https://irbank.net/E04768/pl
・https://irbank.net/E04768/dividend
・https://irbank.net/E04768/bs
・https://finance.yahoo.co.jp/quote/8584.T



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