[5401]日本製鉄をパティシエが分析!日本最大の鉄鋼メーカー・USスチール買収で世界へ・赤字懸念も2027年反転期待の高配当バリュー株[2026/4/17]

パティシエが分析する。日本製鉄5401の株価チャートと業績分析のイメージ。 物色!個別銘柄

2025年6月

ニュースでもよく見た「USスチール」買収からもうすぐ1年になります。去年6月から一旦上がりかけた株価が今年に入って下がり始め、もう少しで買収時の株価に戻ろうとしています。当時はトランプショックがあったので下げた株価が戻り、今のところ安値圏にあるように見えます。配当利回り4%いかがなものか?しっかり見ていきましょう。


どんな会社???

日本製鉄(5401)は、2012年に旧・新日本製鉄と旧・住友金属工業が合併して誕生した、日本最大・世界第4位の鉄鋼メーカーです(粗鋼生産量ベース)。薄板・厚板・棒鋼・鋼管・ステンレスを幅広く生産し、自動車・建設・エネルギー・造船など多様な産業を支えています。東証プライム上場、鉄鋼セクター。

主要事業は鉄鋼事業(高炉・電炉含む)が中核で、国内に複数の製鉄所を展開。トヨタ自動車との戦略的提携(自動車用高機能鋼板)も有名です。海外展開にも積極的で、アジア各国への技術輸出・合弁事業を推進してきました。

直近の最大トピックは米国鉄鋼大手USスチールの買収(約2兆円)です。2023年12月に買収発表後、バイデン大統領が安全保障を理由に禁止命令を出しましたが、2025年6月にトランプ政権が承認し買収が完了しました。USスチールの収益悪化が影響し、2026年3月期は純損失を予想。ただし2027年3月期からの収益貢献が見込まれており、長期的な成長シナリオを描いています。株式は2015年に10:1の株式併合、2025年10月に1:5の株式分割を実施しています。


時価総額

約3兆2,000億円(2026年4月時点)

日本の鉄鋼セクターでは圧倒的な第1位で、同じく鉄鋼大手のJFEホールディングスの約2倍規模です。ただしUSスチール買収で多額の負債を抱えており、純資産に対して株価がPBR0.58倍と大幅に割り引かれた状態にあります。業績回復が確認されれば、大きな株価上昇の余地を持つバリュー銘柄です。


株価・配当金・セクター

項目内容
株価595円(2026年4月17日時点)
配当金(予想)24円(2026年3月期)
セクター鉄鋼(東証プライム)

配当利回り・配当支払い月

項目内容
予想配当利回り約4.03%(2026年3月期予想ベース)
配当支払い月6月(期末)・12月(中間)

4%超の利回りは数字だけ見れば高配当水準ですが、2026年3月期は純損失を予想しているにもかかわらず配当を実施する計画であり、配当の持続性には大きな懸念があります。業績回復が遅れた場合、さらなる減配リスクも否定できません。一方、2027年3月期以降の回復が実現すれば配当復活の可能性もあります。


売上推移

※2026年3月期よりUSスチールの連結計上が開始され、売上規模が大幅拡大

年度売上収益前年比
2021年3月4兆8,292億円
2022年3月6兆8,088億円+41.0%
2023年3月7兆9,755億円+17.1%
2024年3月8兆8,680億円+11.2%
2025年3月8兆6,955億円-1.9%
2026年3月(予)約10兆円+15.0%

2022年・2023年は鉄鋼市況の急回復と鋼材価格上昇で売上が急増。2025年3月期は鋼材価格の落ち着きと海外販売減少で微減収となりました。2026年3月期の大幅増収はUSスチールの連結計上が主因であり、「実力値」の増収ではない点に注意が必要です。


利益推移

年度営業利益当期純利益前年比(純利益)
2021年3月114億円-324億円
2022年3月8,409億円6,373億円黒字転換
2023年3月8,836億円6,940億円+8.9%
2024年3月7,787億円5,494億円-20.8%
2025年3月5,480億円3,502億円-36.3%
2026年3月(予)-700億円(赤字)

2022〜2023年の利益ピークから連続して減少し、2026年3月期はついて赤字に転落する予想です。USスチールの業績悪化に加え、鋼材価格の軟化と円安メリット剥落が重なっています。2027年3月期からはUSスチールへの操業指導効果や市況回復を見込んでいますが、不確実性は高い状況です。


EPS(1株当たり純利益)

※2015年10月に株式併合(10株→1株)、2025年10月に株式分割(1株→5株)を実施。以下は全て現行ベースに換算した数値。

年度EPS
2021年3月-7.04円(赤字)
2022年3月138.43円
2023年3月150.73円
2024年3月119.32円
2025年3月70.18円
2026年3月(予)-13.03円(赤字)

EPS -13.03円に対して24円の配当を維持する予定は、財務的に非常に無理のある状態です。これはUSスチール連結による一時的な損失計上が主因ですが、配当性向という観点では「持続不可能」な水準にあります。2027年3月期のEPS回復が配当維持・増配の鍵となります。


ROE(自己資本当期純利益率)

年度ROE
2023年3月約16.6%
2024年3月約11.5%
2025年3月6.5%
2026年3月(予)赤字

2023年の16.6%は鉄鋼業として非常に高い水準でしたが、利益減少に伴い急低下しています。2026年3月期は赤字予想のためROEはマイナスに転落する見込みです。鉄鋼業の平均ROEは概ね5〜8%程度とされており、業績回復後にこの水準に戻れるかどうかが注目ポイントです。


PER & PBR

指標数値
PER参考値8.88倍(実績ベース)※2026年3月期は赤字予想のため予想PER算出不可
PBR0.58倍(実績ベース)

PERは2026年3月期が赤字予想のため参考値となります。注目はPBR0.58倍という大幅な「PBR1倍割れ」の状態。純資産の6割以下の価格で取引されており、市場がUSスチール買収リスクと業績悪化を強く織り込んでいることを示しています。業績回復とUSスチールの黒字化が確認されれば大きな株価上昇の余地がありますが、それが実現しない場合は低PBRが続くリスクもあります。


総資産 & 純資産

年度総資産純資産
2023年3月9兆5,700億円4兆1,800億円
2024年3月10兆7,100億円4兆7,800億円
2025年3月10兆9,400億円5兆3,800億円

総資産・純資産ともに堅調に拡大してきました。ただし2026年3月期はUSスチール(総資産約10兆円規模)が連結に加わるため、連結バランスシートは大幅に膨らみます。同時に有利子負債も急増しており、財務指標は大きく変化します。


自己資本比率

年度自己資本比率
2023年3月43.7%
2024年3月44.6%
2025年3月49.2%

2025年3月期時点では49.2%と製造業として非常に健全な水準でした。しかし2025年6月のUSスチール買収完了(約2兆円の資金調達・負債増加)により、2026年3月期以降の自己資本比率は大幅に低下する見込みです。鉄鋼業は設備投資が重く、30〜40%程度の自己資本比率が業種平均的とされています。


有利子負債

時点有利子負債
2025年3月期(買収前)約2兆5,000億円(推計)
2025年8月時点(買収後)約5兆849億円

USスチール買収(約2兆円)の資金調達により、有利子負債が前期比で約2倍に急増しました。営業利益(FY2025:5,480億円)に対する有利子負債倍率は約9倍超となり、鉄鋼業として重い水準です。USスチールの収益改善と借入返済の進捗が、今後の財務健全性の鍵を握っています。


1株配当の推移

※2015年10月に株式併合(10株→1株)、2025年10月に株式分割(1株→5株)を実施。2025年3月期以前は現行ベースに換算した数値。

年度中間期末合計
2018年3月6.0円8.0円14.0円
2019年3月8.0円8.0円16.0円
2020年3月2.0円0円2.0円
2021年3月0円2.0円2.0円
2022年3月14.0円18.0円32.0円
2023年3月18.0円18.0円36.0円
2024年3月15.0円17.0円32.0円
2025年3月16.0円16.0円32.0円
2026年3月(予)12.0円12.0円24.0円

コロナ禍の2020〜2021年に大幅減配(2円)を経験後、鉄鋼市況の急回復で2022年に32円、2023年には過去最高の36円まで急増配。その後は利益減少とともに減配が続き、2026年3月期は赤字予想にもかかわらず24円の配当を維持する予定です。


配当利回りの推移

※各年度末の推定株価(現行ベース換算)と配当金をもとに算出(概算)

年度1株配当配当利回り(概算)
2019年3月16.0円約2.9%
2020年3月2.0円約0.9%
2021年3月2.0円約0.6%
2022年3月32.0円約6.4%
2023年3月36.0円約7.0%
2024年3月32.0円約5.0%
2025年3月32.0円約4.8%
2026年3月(予)24.0円4.03%

2022〜2023年は鉄鋼市況好転で利益が急拡大した一方、株価の上昇が追いつかず配当利回りが6〜7%に達した高利回り局面がありました。現在の4%台は、赤字予想にもかかわらず配当を維持しているためであり、利回りの高さを額面通りに受け取らず、業績回復の見通しと合わせて判断することが重要です。


配当性向

年度EPS1株配当配当性向
2022年3月138.43円32.0円23.1%
2023年3月150.73円36.0円23.9%
2024年3月119.32円32.0円26.8%
2025年3月70.18円32.0円45.6%
2026年3月(予)-13.03円(赤字)24.0円(赤字配当)

2022〜2024年は20〜27%と余裕ある配当性向でした。2025年は45.6%と上昇し、2026年は赤字でありながら配当を実施する計画です。これは配当の持続性として極めて懸念される状態です。会社側は「USスチール損失は一時的」との立場ですが、さらなる業績悪化が続けば無配転落のリスクも排除できません。2027年3月期のEPS回復が配当政策の行方を決める重要な分岐点です。


自社株買い

確認された自社株買いの実績は以下の通りです。

年度取得金額(概算)
2016年約860億円

近年(2022年以降)の自社株買い実施は確認できておらず、積極的な株主還元という観点では限定的な水準です。USスチール買収で巨額の資金を使ったこともあり、当面は自社株買いよりも財務健全化(有利子負債削減)が優先されると思われます。


まとめ

正直IRバンクでざっと見たところ、いつもなら手を出さない財務状態。配当金も減配・増配を繰り返し定まらないし、高配当銘柄としての安心感は、いささか欠如しているように感じているのですが、USスチールの買収後27年3月期に向かって大きく反転していく期待があり、今のところ監視銘柄の中にあります。おおよそのPER、またPBRを見る限り、明らかに割安であり、日本最大の鉄鋼メーカー。破綻するとはまず考えられない。大きな株価の上昇は見込めないとしても、4%の配当をもらいながら、少し持っておくのも悪くない銘柄。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、投資を推奨するものではありません。 記載されている情報は執筆時点のものであり、その後変更される場合があります。 投資判断はご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。


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